LIVE(ライブ・対面)の場だからこそ伝わるもの、感じるもの
オンラインの広がりで、わたくし達はどこにいてもつながれるようになりました。 けれど、人と人とが〈同じ場〉を共有するとき ― そこには、言葉を超えた何かが生まれます。 その空気の中でしか感じ取れない、微かな呼吸や沈黙の温度。 それが、こころ と こころ を結ぶ「LIVEのちから」なのだと思います。
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1. オンラインの広がりと、その恩恵
コロナ以降、オンラインでのカウンセリングや研修が広く行われるようになりました。 わたくし自身も、移動の負担が少なく、どこにいても学びやつながりを持てるこの方法に何度も助けられています。 オンラインにも、こころを通わせる力があります。 それは間違いなく現代の大切な形のひとつです。
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2. 現地で感じた 「LIVE(会うこと)」 の力
けれど先日、箱庭療法学会へ現地で参加して、あらためて感じました。 ― やはり「LIVE」の場には、特別な力がある。
本当は仕事を持ち込んで後ろの席で片づけようと思っていたのですが(笑)、どの発表もとても興味深くて、気づけば最後まで拝聴していました。 発表者の声の抑揚や、会場の空気、誰かのため息。 そのひとつひとつが、画面の向こうでは伝わりにくい「生きた時間」を作り出していました。
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そして別の日、ある方に会いに出かけました。 久しぶりに降り立つ駅、早く着きすぎてしまい、温かいコーヒーを飲みながら約束の時間を待ちました。 話したいことが自然に浮かんでくる — まるでカウンセリングを前にしたクライエントのように、こころが静かに動いているのを感じました。
ゆっくり歩いてその方のもとへ向かうと、優しい笑顔が迎えてくれました。 特別な出来事があったわけではないのに、帰り道、「来てよかった」とこころから思いました。 その日は曇り空でしたが、空がわたくしを優しく包み込んでくれているようでした。 そのとき感じたのは、安心や喜びだけではなく、「生きている」という確かな実感です。
LIVEで会うというのは、まさにこの「生きているリアル」に触れることなのだと思います。
身体の緊張、沈黙の間合い、笑顔の温度、そして呼吸のリズム。
そうしたものすべてが、その人との関係をかたちづくるのです。
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3. 感情という余韻 ─ 怒りもまた、生の証
カウンセリングでも、こうした「余韻」はとても大切です。 面接のあとに感じるのは、いつも穏やかな気持ちだけではありません。 ときに、怒りや苛立ち、戸惑いといった感情が浮かび上がることもあります。
けれど、それこそが「生きている」というリアルな証です。 関係が動き、こころが反応している。 その揺れこそが、変化の始まりなのです。
LIVE(対面すること)の力とは、まさにこの生々しさを引き受けること。 喜びも怒りも、静けさもざらつきも、同じように〈いまここ〉にある命の表れとして受け取ること。
その全体を包み込むように、きっとつくばの空はあなたの上にどこまでも広がっていることでしょう — その日のわたくしにとってそうだったように。
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4. 「箱庭」は、その場でしか生まれない
箱庭療法はオンラインでは行えません。 砂の感触や、ミニチュアを配置するときの静けさ、光の入り方。 そうしたものすべてが、あなたの内なる世界とつながる「大切な言葉」だからです。
不便さの中にこそ生まれる「あそび」の空間。 その余白の中で、人は自分のこころの声に耳を澄ませていきます。
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つくば心理相談室より
つくば心理相談室では、そんな〈LIVEな場〉を大切にしています。
オンラインでも、対面でも、あなたが自分のこころとつながれる時間として、丁寧に紡いでいきます。
そして、もしも叶うなら、直接「場を共有する」体験をもってみてください。
きっとその時間が、あなたの内に静かに息づく何かを呼び覚ましてくれるでしょう。
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